Kailhシリーズの軸についてまとめてみた
メカニカルキーボード軸比較シリーズの第3弾です。
今回は前回で紹介したGATERONと同じ、中国のメーカーであるKaihua Electronicsというメーカーの軸について比較を行ってみました。
ブランド名も会社名もGATERON以上に読み方が一見分からないですが、どうもブランド名は「カイル」、会社名は「カイファ」と読むのが正しそうです。
そんな難読ブランドKailhですが、MSIやOwltech、Ducky Channelといったゲーミング系キーボードで多く採用されている様です。
Kailhとは?
KailhはKaihua Elecrtonicsという会社のブランドで、会社としてメカニカルキーボード用のスイッチをメインに製造・販売を行っている中国広東省東莞市を拠点とするメーカーです。
前回で比較を行ったGATERONの軸と並び、自作キーボード界隈では比較的安価な値段設定もあり、結構な確率でこのどちらかの軸が使用されている印象を受けます。
ただし、ラインナップとしてはこちらの方が選択肢が多く公式サイトの一覧を見るだけでもかなりの数が並んでいます。
Kailhの特徴
- 軸の種類が豊富で、GATERONと並び安価
- 自作キーボードでも人気
- CHERRY MXとはやや異なったスペックの同色軸
- もちろんこちらもCHERRY MX互換あり
Kailhの軸にはいくつかの種類があるのですが、どの種類でもCHERRY MXの同色の軸とは異なるスペックをしています。
詳しくは下の比較で述べますが、全体的に接点距離が短めに設定されています。
またスピードスイッチという種類でわざわざ分けてもあるので、入力速度を重視している傾向が見て取れます。
こちらもGATERONと同じく安価に入手できるので、自作キーボードでは人気の軸になります。
Kailh軸の種類
ここからはKaihua Electronicsの公式サイトに掲載されている各軸を比較しています。
今回も複数のシリーズがあるので、分けて比較をしてみます。
Regular Switches
名称 | タイプ | 押下圧 | ストローク | 接点距離 |
---|---|---|---|---|
Red(赤軸) | リニア | 50gf | 約4.0mm | 約1.9mm |
Brawn(茶軸) | タクタイル | 50gf | 約4.0mm | 約1.9mm |
Blue(青軸) | クリッキー | 50gf | 約4.0mm | 約1.9mm |
Canary Tactile | タクタイル | 42gf | 約4.0mm | 約2.0mm |
Polia Tactile | タクタイル | 45gf | 約3.8mm | 約1.8mm |
Clione Limacina | リニア/タクタイル | 58gf | 約4.0mm | 約1.9mm |
Crystal Burgundy | リニア | 37gf | 約3.4mm | 約1.3mm |
Midnight Pro Silent | リニア/タクタイル | 45gf | 約4.0mm | 約1.9mm |
まずは名前からして標準的なラインナップと思われるRegular Switchesから比較してみました。
いよいよ軸の名前がオリジナルみが強くなってきたので、名称については公式サイトそのままの名前を引用しています。
表にしてみてまず思ったことは、接点距離が全体的に短めに設定されていることですね。
唯一Canary TactileのみがCHERRY MX標準の4.0mm/2.0mmの設定になっており、他の軸ではほとんどが0.1mm程短めの接点距離でした。
また、Crystal Burgundy軸ではストローク・接点距離共に群を抜いて短めの設定になっており、また押下圧も37gfと最軽量の部類に入るので、CHERRY MXで言う所のスピードシルバー軸の様なゲーミング用途を想定していると思われます。
実はこの後に比較を行うシリーズが「Speed Switches」という名前なんですが、Crystal Burgundy軸がRegular Switches側に居る理由が不明です……
Speed Switches
名称 | タイプ | 押下圧 | ストローク | 接点距離 |
---|---|---|---|---|
Gold | クリッキー | 50gf | 約3.5mm | 約1.4mm |
Silver | リニア | 40gf | 約3.5mm | 約1.1mm |
Copper | タクタイル | 40gf | 約3.5mm | 約1.1mm |
Bronze | クリッキー | 50gf | 約3.5mm | 約1.1mm |
Pink | クリッキー | 50gf | 約3.5mm | 約1.1mm |
続いてはSpeed Switchesシリーズの中でも標準的な立ち位置と思われる、Spped Switch Set(S3)の比較になります。
名前の通り反応の速さを重視したものになっており、ストロークは約3.5mmで統一され接点距離もGold軸を除いて約1.1mmという短さになっています。
また少し珍しくリニアは1種類だけですが、クリッキーが3種類と他ではあまり見ない構成になっていますね。
クリッキーは他のメーカーではそこまで豊富な数のレパートリーを出していないので、クリッキーを是非使いたいという方であればこのS3シリーズを検討しても良いと思います。
あと、これは余談に近いんですが、金属系の名前の中に「ピンク」が混じっているのは何故でしょうね?
名称 | タイプ | 押下圧 | ストローク | 接点距離 |
---|---|---|---|---|
Silver | リニア | 38gf | 約3.5mm | 約1.1mm |
Copper | タクタイル | 38gf | 約3.5mm | 約1.1mm |
Bronze | クリッキー | 48gf | 約3.5mm | 約1.1mm |
Red | クリッキー | 48gf | 約3.5mm | 約1.1mm |
並びに、先程のSpeed Switch Setの上位版となっているSuper Speed Switch Set(S4)の表になります。
Silver、Copper、Bronzeは重複して存在しますが、Goldが無くなりPinkの代わりにRedがラインナップされています。
特徴としては押下圧の変更で、S3から丁度2gfだけ軽くした基準になっており、ストロークと接点距離には変更はありません。
また、S3とは違いS4では出荷時に既にスイッチ部分へのルブ(潤滑剤)が塗布されており、よりスムーズな押し心地になっている状態です。
スイッチですから潤滑剤はあった方が良いと思います、ただしネット上では意外と軸によってはこの潤滑剤が無い方がいいという意見もあったりするので、一概には言えないかもしれませんね。
安価で個性的な軸が揃う
Kailhの特徴しては、GATERONと同様本家CHERRY MXよりも安い値段で互換品が手に入る点と、比較した通り接点距離が全体的に短め+本家に無い色の軸が多い所ですね。
特にゲーマー向けの軸と言えるのではないでしょうか、実際Kailh軸をゲーミング用途で使用している方が多い様です。
次回のネタはまだ考えてないですが、まだまだ軸のメーカーは数多くあるので、調査でき次第記事にします。