CHERRY MXシリーズの軸についてまとめてみた
以前にFILCOのメカニカルキーボードを買ったという内容の記事を投稿しましたが、以降ずっと会社でも自宅でも同じFILCOのキーボードを使用しています。
この記事を書いている時点で既に1年が経過していますが、ここに来て「他の軸ってどうなんだろう」という思いが芽生え始めてきていて、とにかく様々なメーカーの軸を調べる毎日です。
またどちらかと言えば英語配列のキーボードにも興味を示しているので、近いうちに新しいキーボードの記事を書いている可能性が高いです。
(上の記事を書いた時には英語配列には興味ないとか言っておきながら)
今回はCHERRY MXに焦点を当てて、どんな軸が存在するのかを調査してみました。
また、今後他のメーカーの軸を比べる際の基準としてCHERRY MXを基本として扱いますので、よろしくお願いします。
この記事の目次
メカニカルキーボードの軸について
そもそもの話として、メカニカルキーボードは1つ1つのキーが独立したスイッチになってます。
なのでメンブレン式と比べるとコストがかかるので高いですが、耐久性は高くキーボードによってはスイッチの交換もできるので長い目で見た場合安くなる可能性もあります。
で、メカニカルキーボードのスイッチというのは実際様々な種類があり、その種類によって打ち心地や音、感覚が異なってきます。
スイッチの種類では基本的に◯◯軸みたいな言い方をするので、メカニカルキーボードのスイッチの事を軸と言う文化が生まれたんじゃないかなと。
軸については人によって好みが大きく分かれる所ですが、メカニカルキーボードの特権みたいなものでもあるので追い詰めていくと完全に沼です、今の私がそうですね……
ちなみに、東プレが出しているRealForceとかもメカニカルキーボードの一種ですが、あれには静電容量無接点式というまた特殊な別の種類のスイッチになっているので、ここで主に話題に上げる軸は一般的な構造の接点を持ったものに限定しています。
CHERRY MXの特徴
- 長い歴史があり、また最も有名なスイッチ
- 多くのユーザーが使用しており、信頼性は高い
- CHERRY MX互換スイッチはこれをベースに作られている
- 標準的なスペック
CHERRY MXは最初のメカニカルキーボード用の軸として、初心者はまずこれを選んでおけば間違いないです。
大体の他社の軸はこれをベースに派生しており、安心と信頼性は群を抜いていると思います。
逆を返せばごく平凡な性能なので、何かに特化したピーキーな使い方には少々不向きかも。
CHERRY MX軸の種類
恐らくメカニカルキーボードの世界で一番有名な軸と言えばCHERRY MXだと思っています。
CHERRYという会社が開発した軸で、現在は他の企業に買収されていますが未だに根強い人気を誇る定番中の定番になります。
この会社がその軸の特性毎にスイッチの軸の色を変えていたことから、赤軸とか青軸みたいな「色」+「軸」という言い回しが一般的になった。(間違えていたらすみません)
私が現在使用しているキーボードにもこの軸が使われています。
名称 | タイプ | 押下圧 | ストローク | 接点距離 |
---|---|---|---|---|
赤軸 | リニア | 45gf | 約4.0mm | 約2.0mm |
シルバー軸 | リニア | 45gf | 約3.4mm | 約1.2mm |
黒軸 | リニア | 60gf | 約4.0mm | 約2.0mm |
茶軸 | タクタイル | 55gf | 約4.0mm | 約2.0mm |
青軸 | クリッキー | 50gf | 約4.0mm | 約2.2mm |
静音赤軸 | リニア | 45gf | 約3.7mm | 約1.9mm |
静音黒軸 | リニア | 60gf | 約3.7mm | 約1.9mm |
緑軸 | クリッキー | 80gf | 約4.0mm | 約2.2mm |
グレー軸 | タクタイル | 80gf | 約4.0mm | 約2.0mm |
クリア軸 | タクタイル | 65gf | 約4.0mm | 約2.0mm |
以上が公式のHPに載っていた軸の一覧になります。
緑軸以降の3つは特殊仕様になっているので、CHERRY MXの標準という意味では赤軸から静音黒軸までのラインナップに限られると思います。
各項目の説明
上に載せた表は簡単にその軸の特徴を捉えたスペックをいくつかピックアップしていますが、各項目が何を意味しているのかを一応ざっくり説明しておきます。
まず、名称については俗称になっており公式な名称ではありません。
今回はCHERRY MXシリーズの軸を紹介していますが、他メーカーはこの軸の色を踏襲している面が大きく色の軸名称はこちらの方が広く通じると個人的に思ったので。
ただ公式の名称は各色をそのまま英語にしただけでもあるので、変に変換しなくてもそのままで通じます。
タイプは一番影響が大きいもので、その軸の大分類として扱われる事が多いと思います。
比較する際にはこのタイプを主軸として行いますので、説明については後ほど。
押下圧はその軸の押すために必要な力を表しています、ただしこの数値はどの位置でも均一の値ではないのであくまでも押し初めの重さと考えて下さい。
(バネの力でキーを押し返しているので、押せば押すほど普通は重くなる)
ストロークは底に着くまでの距離で、接点はキーが押されたと検知するまでの距離です。
これらを踏まえて、各軸を見ていきます。
リニアの比較
リニアとは、キーを押した際に引っかかりを感じない種類の軸になっており、恐らくは一番人気が高いタイプではないでしょうか?
上の画像はリニア軸の中でも代表的な赤軸の動きを横から見たものになりますが、スムーズに赤色のパーツが上下に動いている事が確認できますね。
リニア軸の特徴としては押した時のなめらかさと、他のタイプに比べて静かなものになります。
その中でも赤軸、シルバー軸、黒軸、静音赤軸、静音黒軸と種類が豊富で、それぞれに違った特徴も備えています。
赤軸は先程も記述しましたが、リニア軸の中でも最もスタンダードな軸となっており、これをベースに他の色と比較する機会が多いと思います。
黒軸は赤軸よりも押下圧が重いので、赤軸の軽さが気になる場合に。
シルバー軸はストロークと接点の距離が近いので、キー入力がシビアなゲーミングキーボード系に搭載されている場合が多いです。
静音赤軸と静音黒軸については赤軸と黒軸の底打ちの音を極限まで小さくしたい場合に選びますので、オフィス等の静かな環境で使用するシチュエーションが合うと思います。
静音シルバー軸なるものは無いんですが、何故無いのかを個人的に考えた結果、シルバー軸を使用するユーザーはそもそも底打ちをしないからなんじゃないかなと勝手に思ってます。
全軸に共通して言えることですが、ストローク距離目一杯まで押すとどうしても可動部が底のパーツに当たって音が鳴ってしまいますが、シルバー軸の場合接点の距離が近いので底まで打つ必要があまり無いんですよね。
とまあリニア軸の各種色の特徴を述べましたが、初めてメカニカルキーボードを買う際にはリニア軸の場合、まずは赤軸で様子を見ると良いでしょう。
タクタイルの比較
タクタイルは画像の左側にある金属パーツの動きを見ると分かりますが、キーを押す途中でごく小さなひっかかりを感じる種類の軸になっています。
リニア軸ではなめらかすぎて違和感を感じる場合や、メンブレン式のキーボードから初めてメカニカルキーボードに変える方はこのタクタイルがオススメです。
タクタイルの中では茶軸、グレー軸、クリア軸の3つが公式に出ていますが、グレー軸とクリア軸の2つに関しては特殊なので残った茶軸が一番オーソドックスな選択肢になります。
実際販売されているタクタイル軸では茶軸が圧倒的にシェアを取っていますので、タクタイルを選ぶイコール茶軸だと思ってもらえれば。
一応他の軸について見てみると、違いがあるのは押下圧ぐらいなので、茶軸で軽いなと思った方はクリア、または更に重いグレー軸を選んでみると良いと思います。
クリッキーの比較
最後に紹介するのは、明確な「カチッ」とした音でメカニカルキーボードと言えばコレでしょ、的な立ち位置の軸です。
画像を見ると青いパーツと白いパーツで別の動きをしており、白いパーツが接点距離まで押されると金属パーツの引っ掛かりから抜け出して一気に底まで落ちる形になっており、この構造によって特有の名前通りクリック音に近い音を発生させています。
静かな環境で使用するとかなり目立つ音をしているので、少なくともオフィス等の静かな環境で使用するのはオススメできません、というか使わないで・・・
(会社で実際に使用している後輩が居ますが、うるさすぎて色んな人に怒られてるという)
クリッキー軸は青軸と緑軸の2種類しか無いですが、タクタイル同様緑軸はまあ採用しているキーボードの数も少ないと思うので、通常は青軸の選択肢になります。
こちらも押下圧の違いしか無いので、青軸を使ってみて様子を見てみると良いと思います。
最初に買うならどの軸がいい?
さて、ここまでで一通りのCHERRY MXシリーズの軸を比較してみましたが、じゃあ実際に最初にメカニカルキーボードを買うならどれがいいんだろうという仮定の話をしてみます。
そもそも今までメンブレン式やパンタグラフ式のキーボードを使っていて、これから初めてのメカニカルキーボードを買うぞとなった場合、わざわざメカニカルキーボードを選択肢に考えた理由が何かしらあると思うので、簡単に言ってしまえばその理由に合った軸を選ぶとベストかなと。
打ち心地が良い、耐久性が高い、長時間使っていても疲れない……この様な理由を耳にしてメカニカルキーボードに切り替えるきっかけになっているんじゃないでしょうか。
私の場合は職場でたまたま後輩のメカニカルキーボードを触って「いいなぁ」という流れだったので、そのキーボードで使っていた茶軸を選んだだけになります。
ここでは理由やシチュエーションになるべく沿った形で、かつ市販品のメカニカルキーボードの中でも常に購入しやすい代表的な軸に絞ってまとめてみました。
名称 | こんな理由なら | シチュエーション |
---|---|---|
赤軸 | ・疲れにくいものが欲しい ・打っていて気持ちがいい ・RealForceライクな安いメカニカルが良い | ・文字を多く入力する ・会社での利用(静かな環境) ・家での利用全般 |
茶軸 | ・今までの打ち心地を大きく変えたくない ・何らかのフィードバックが欲しい ・適量で音は鳴って欲しい | ・文字を多く入力する ・会社での利用全般 ・家での利用全般 |
青軸 | ・カチカチした音が好き ・メカニカルならではの音が欲しい | ・家での利用全般 |
シルバー軸 | ・ゲームで素早い入力がしたい ・浅い入力で反応して欲しい | ・素早い入力を求められる ・ゲーミング用途 |
あくまでもこれは参考程度になりますので、最終的には可能であれば実店舗に行き様々な軸に触れてみる事が一番手っ取り早いと思います。
この中でも選べない場合、更に強いて言えばまずは赤軸か茶軸辺りを1回買ってみるとまず失敗しないと思います。
この2つは途中の引っ掛かりがあるかないかだけの差になりますので、その2つでどちらの方が好みかを判断しておけばまあ普通は満足するんじゃないかなと。
ちなみに、最初から明確に購入したい軸を選べているのであれば緑軸等の特殊な軸を選んでも全然問題ないです、ただし採用しているキーボードが少ないのでそこがネックかも……
CHERRY MXは全ての軸のベース
冒頭の方でも記載しましたが、CHERRY MXをベースとする互換スイッチは今現在数えるのがしんどいぐらいの種類が世の中に出ています。
というのもCHERRY MXの特許が2014年頃に失効したからですね、以降は各社このCHERRY MXの設計をベースに様々な改良を重ねた製品を開発しています。
今回はメカニカルキーボードの軸の元祖であるCHERRY MXシリーズを取り上げましたが、今後としては他社の色んな軸を同じ様に比較してみたいと思っていますので、今回の記事がそれらの派生形としての紹介になると思います。
それにしても本当に種類がありすぎて、もうこの沼からは出られませんね。
※財布は軽くなります